*帝立天文学量子波動学研究所 [#a082e541] 俗に言われる「天文」の事である。 この研究所は、帝国が国策として科学技術者のエキスパートを集めた官営組織で、当初の目的は「箱舟計画の早期実現」であった。 その名の通り、「宇宙航行」「素材」「宇宙船システム」「圏外アメニティ(宇宙放射線や磁場)」のエキスパートを集めた、箱舟のためのの組織だ。 帝国はこの帝立天文学量子波動学研究所(以下天文)が、調停院の推進する箱舟計画のアクセラレータとなることを大いに期待していた。 だが実際は、倫理的問題なども含め、様々な面で調停院と天文は意見が対立することがあり、結果、発足から40年経過した時点での進展は、想定よりかなり遅いものだった。 クラケットの所属する「ジェノミライプロジェクト」は、肩書き上は調停院直轄研究所(地文)所属だが、実質的な管理は地文と天文の双方が関与していた。 その後、ジェノミライ・パンデミックの時に、地文と天文とで対応処理などに相違が出たことから、最終的には共同開発の決裂にまで発展した。 だが本当の決別理由は、この頃既にシェルノトロンは相当数普及しており、天文は地文に頼らなくても自活できるようになっていたからである。 元々、箱舟計画でも衝突の多かった天文と地文であり、進むべき方法も文化もタブーも、全然違ったのである。 ジェノミライが強制解散となった後に、ウンドゥ以外のメンバーを天文が吸収した。 そして、アルノサージュ管とグランフェニックス計画に荷担させたのである。 だが、既にジェノミライプロジェクトで相当精神的に病んでいたクラケットは、1年も持たずにギブアップ。自分を死んだことにして隠居した。 現在では、シェルノトロンの総元締めとして、地文に代わり皇室に対して最も権力を持つ組織となっている。 だが、イオン召喚の為の月破壊以後、民衆の支持率はかなり低下している。